from「The Pursuit」(2009)
立ち上がれ洋楽痛
ジェイミー・カラムは凄い。世間の過小評価にも程がある。個人的にはエド・シーランくらいブレイクしないと割に合わんと思うとるくらいや。元はといえば、ノラ・ジョーンズ旋風が吹き荒れていた頃、次のスターはコイツや!みたいな感じでプッシュされまくったジェイミー。
デビュー当時はノラ・ジョーンズよりもさらにジャズ寄りのスタイルで、ピアノの腕も歌も抜群に上手い。スタンダードナンバーのカバーを自分のものにしまくる様はまさに天才。スタンダードのみにとどまらずジミヘンやジェフ・バックリーやレディオヘッドをカバーするところに彼のロックへの造詣の深さが垣間見えた。
その頃はまだプレイヤーとしての実力に驚かされていただけだったが、今では作曲者としての実力もそれに匹敵するくらいに成長しているのだ。
アルバム「The Pursuit」がまさにそうで、楽曲のクオリティの高さはもとより、アコースティックな音作りとジャズとロックの配分が超わたし好みな作品なのだ。友人のジャズメンが人生の10枚に挙げると熱く語っていたアルバムでもある。
シングルカットもされている「I’m All Over It」はあえて音数を削ぎ落とし、弾むメロディのみで勝負をかけている感じがとても好きだ。シンプルなポップスかと思わせといて転調されたり、甘さを抑えたメロディも彼のこだわりを感じる。
サビは合唱コーラスだからグッと盛り上げられるのに、メロディが寸前のところでポップに振り切らない。もっとストレートな展開にすればヒットも狙えたはずだが、信念を貫いたということか。
しかし、絶妙にセンチメンタルさをかわしていく展開でありながら、大サビの「No I won’t come back〜」に限ってはマイケル・ブーブレばりのポップス感を全開にだすジェイミー。これが素晴らしい。
エド・シーランが何百万枚?も世界中で売ってるのにこのジェイミーの扱いは何や。その原因はセルアウトしないジェイミーのミュージシャンシップのせいであると考えられるが、そこがまた洋楽痛魂をくすぐるポイントでもあるので実にもどかしい。
となると結論は、世の中にジェイミーのこだわりを理解できる洋楽痛をもっと増やせばいいということである。立ち上がれ洋楽痛!!
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