from「The Song Society, vol.2」(2019)
君らどんだけ「糸」カバーすんねん問題
ジョン・メイヤーとジェイミー・カラムのカバーは人を幸せにする
ロリング家に代々伝わる家訓にこんなものがある。
「ジョン・メイヤーとジェイミー・カラムが演奏するカバー曲は人を幸せにするからもっとやれ」
ノラ・ジョーンズもイイ線いっているが、この2人には及ばない。
彼らのカバーは原曲の新たな側面を示してくれるだけではなく、スタンダードを塗り替えてしまうパワーがある。カバーされたアーティスト達は光栄ながら戦々恐々としているはずだ。 オリジナルが食われちまうんじゃないかってね…
実はあんまりカバーは好きではないのだが…
といいながら、わたしはカバー曲ってのは基本的には好まない。なぜならロックとは作曲だと思っているから。そのアーティストが生み出したメロディを聴くことに時間を割きたいのである。
どの曲にも影響を受けていない完全にオリジナルな楽曲なんてものは存在しないかもしれないが、アーティストが自分の声として演奏するメロディと歌詞に価値があるのだ。
「糸」と「雪の華」のカバーもうええやろ
いっちゃあ悪いが日本におけるカバーアルバムなんかひどいもんよ。君らどんだけ「糸」カバーすんねんと。もうええやろ。縦の糸も横の糸も擦り切れるわ。
あの曲を演奏していいのは中島みゆきとBank Bandだけという法律が施行されているにもかかわらず、次から次へと思い入れのない安易なカバーが垂れ流されている。
カバーアルバムだすなら選曲でセンス見せないと。そこが醍醐味なのにまた「雪の華」やんの?いやええ曲やけど、さすがにカバーはもうええわ。
その点、BankBandはカバー曲のチョイスが素晴らしかった。隠れた名曲たちを世間に認識させるという意義が感じられるのだ。
「これやっときゃ売れるやろ」と「この曲めっちゃ好きやねん」の違いなんだろうなぁ。
ひっそりとカバー集第二弾がリリース
さて、というわけでジェイミー・カラムのカバー集第二弾がひっそりとリリースされとりましてん。
このシリーズ、1時間で練習から録音まで完了させるという、ジェイミーじゃないと成立しない彼ならではの企画。
第一弾はスマホに穴が開くほど聴いたもんだからかなり嬉しかった。が、もうちょいなんとか宣伝しろや。ジェイミーの名前で検索せんかったら気付かんかったやんけ。
目玉はTHE 1975とアリアナ・グランデのカバー
今回、とても目玉はなんと言ってもTHE 1975の「Love It If We Made It」とアリアナ・グランデの「Boyfriend」っしょ。
「Love It〜」はストリングスのみのアレンジで、厳かな雰囲気を醸し出しているのが特徴。なによりも素晴らしいのが囁くように歌うジェイミーの歌唱力よ。声を聴いてるだけで幸せ状態発動。
現役絶好調バンドをカバーするのはとんでもない勇気がいるが、ジェイミーの実力と楽曲に対する深い愛情があれば任せて安心なんだよなぁ。
ジャズよりのアレンジが功を奏す「Boyfriend」
そしてハイライトが「Boyfriend」なんどす。ポップスのアレンジをジャズに寄せるというスタンダードな手法ながら、エレピとギターの絡みがちょー気持ちイイ。
ジェイミーの声にエフェクトをかけてるところが蛇足な気がしなくもないが、彼の歌声を聴く限り、完全に自分の持ち歌と化している。
しかもギターソロはロックとジャズの中間を行くプレイでかつ、音の粒が多目で心地よいのよコレが。 大人なソロとでも言いましょうか。
カバー集が一番好きで申し訳ない
正直ジェイミーのオリジナルアルバムよりもこのカバーシリーズのほうが興奮してしまうという申し訳ない事態におちいっている。でもここまでわたしを興奮させる作品はそうあるものでもない。
このシリーズ、ワイかジェイミーが死ぬまで続きますように。
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