from「Magnolia」(1999)
童謡とか有名な曲を替え歌にしてるCMって安易すぎて逆に悪印象だと思いますロリング君です。
ずっと心に残り続けている映画に、「Magnolia」(1999年、ポール・トーマス・アンダーソン監督)がある。関係のない男女9人の人生が奇妙に交差していく様を描いた人間ドラマで、監督いわく「エイミー・マンの歌にインスパイアされて作った」とのこと。この監督だけに単なる感動的なドラマであるはずがなく、どこかイかれた登場人物が自分の人生に悩む姿を描く。アカデミー賞にもノミネートされたが、よくあのトム・クルーズが引き受けたな、というくらいのぶっ飛び具合。
劇中にエイミー・マンの歌がかなり使われている。その楽曲のクオリティが半端なく、衝撃を受けたわたしは急いでサントラを購入した。エイミーの歌声は「オレが憧れる女性ボーカル部門」で不動の第1位をキープし続けている。あの呼吸がすべて声に変換されているような声は、歌を歌と感じさせないほどに自然。密度が艶を生んでいるというか。まあとにかく聴けばわかる。
「Magnolia」のサントラは名曲まみれのサントラでありエイミーの歌声を味わえる絶好の機会なので是非聴いていただきたいのだが、特筆すべきは「Momentum」と「Wise Up」だ。
「Momentum」は古き良きアメリカのティンパンアレーを思わせる、ビックバンド風アレンジが嬉しい傑作。展開がドラマティックで、ミュージカルっぽいのにエイミーの歌はあくまでクールなのがイイ。サビでは誰もが踊りだしたくなるほどの高揚感があって、完璧な一曲っすわ。
しかし、それを差し置いて紹介したいのが「Wise Up」なのである。映画をまだ見ていないかたの為に多くは語らないが、クライマックスでそらまあこれ以上ないくらい効果的に使用されている。
ピアノの優しい伴奏とエイミーのあの歌声とミニマルなメロディに一瞬で引き込まれる。どのパーツをとってもコレ以外に考えられないくらい自然で、もともとそこにあったかのような存在感。イデアのメロディってこういうことなんだなぁ。コードとメロディの位置関係がドラマティック過ぎて、聴くたびにいろんな感情が蘇る。きっと初めて聴く人もどこか懐かしいという感覚が味わえる稀代の名曲。
仕事の帰り道で聴いたら泣いてまうわ。映画をもう観たっていう人はこちらをどうぞ。
Apple Music: Aimee Mann 「Wise Up」
(サントラ版は配信されていないようなのでやむなく別バージョンを…)
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