生ける伝説奇跡の来日
今回あの生ける伝説ことMy Vitriolの来日公演についてお伝えします。
今回彼らは2公演をやる予定で来日しており、一つはフェス形式のイベントともうひとつは下北沢における単独公演。そりゃあ欲を言えば両方行きたかったが仕事の都合で泣く泣く神田明神ホールにおけるフェスのみに参加しました。それでもナマのMy Vitriolに会えるなんで十分すぎるくらい幸せなんだけれども!!
神田明神ホール、衝撃のステージ構成
まず神田明神ホールに着いたらこんなところにライブ会場があるのかと言う雰囲気。そして神社の横の建物の二階に上がるとそれらしき会場があった。ビールを受け取りホール内に入ると…衝撃のステージがまずわたしを出迎えたのだった。
会場というかステージが3つくらいあるのかなーと思ったらステージは1つ。その1つのステージを左右に分けて交互に演奏とセッティングを繰り返す方式だったのだ。斬新。その手があったか。特に派手な装飾もなく、手作り感溢れるアットホームなフェスである。ステージと客席の距離がめちゃくちゃ近くてビビる。
こんなアットホームなフェスに本当にマイビトは来るのか…来ないのかい…どっちなんだいと言う気分に陥りながらもとりあえずビールを飲みながらブラブラしていた。
普通にステージで準備をするメンバー達
マイビトの前の左側ステージでバンドが演奏をしている間、右側ステージでスタッフがセッティングを始めた。と思ったらドラムのラヴィが普通に出てきてスネアとドラム横に置かれたMacBookの調整を始める。※今回3人編成だったので少なくともベースはMacBookから流していた。
おいおいメンバー出てくんのかよと思って見てたら、MacBookの調整に手こずったらしく、まさかのソムが普通に出てきてPCをいじり始めるではないか。隣のバンドの演奏も終わり、マックの調整も完了したところで満を持して全員が登場!
客席が「うおぉぉぉ!!」と怒号のような歓声が上がるかと思いきや、メンバーもうさっき普通に出てきてたし観客全員タイミングを逃してダンマリを決め込むことに。そもそも客席はガラガラ。本当にマイビト目当てのお客さんは20人くらいしかいなかったのではないか。
「Moodswings」で本領発揮!奇跡のグルーヴ
マイビトの皆さまが気分を害さなければ良いのだが…と心配していたらいきなり「Always Your Way」始まる。テンションは一気にマックスへ。演奏もタイトでソムの声も出ている。バリバリ現役やんけ!!ただ、音源の音の壁が完全再現されておらず、迫力にはちと欠ける。セットもシンプルだし仕方ないかなぁと思いながらも見られただけでも幸せだったわたしはその幸せに浸っていた。
そしてその時は訪れた。「Always Your Way」と並ぶ彼等の最強の大名曲「Moodswings」のイントロが聴こえてきた。まず思ったのが、「よかった…彼等もこの曲気に入ってるんだ」だった。「Moodswings」はそもそもB面曲集的な存在のアルバム「Between the Lines」に収録されている楽曲なのだ。この大名曲をアウトテイク扱いするなんてどないなっとんねやとずっと思っていた(ただ、B面に名曲があるバンドは良いバンドであることは間違いない)。
その曲をわずか30分(!)の出番の中で演奏してくれたのは本当に嬉しかった。しかも、しかもである。音圧が完全に音源と遜色ないレベルにパワーアップしていた。あのイントロのタテノリ感を完全に再現してくれたのだ。なんと力強くしなやかグルーヴであろう。
メンバーの職人芸に感動
セスのギターの上手さはなんと言うかギター教室では絶対教えてくれない上手さだった。早弾きをするわけでもなくタッピングをするわけでもないんだけれども、欠けている音域を埋めてくれて、さらに他の誰も弾かないフレーズを聴かせてくれるのだ。こんなギター誰も教えてくれない。ちゃんと音楽全体のことを見渡したうえで音を出しているんだなぁと思ったのよ。足元のエフェクターは8つくらいセットされていました。
そしてラヴィのドラムがMy Vitriolのサウンドの気持ちよさの半分くらいを担っているんじゃないかと確信した。とにかく力強く正確なビートはもちろんのこと、フィルインがとにかく快感原則にそいまくり。これ世界フィルイン選手権あったら決勝まで残るレベル。ジミー・チェンバレンと最後まで争うやろなぁ。
ソムはというと、全く本気出してないような素ぶりで、キメるところはキメるという男前パティーン。若干二重アゴになっていたが、ライダースジャケットにヒゲと言う完全に男らしさ全開かつ声の仕上がりもバッチリ。シャウトも余裕でかましてくれる。声にリバーブかディレイかわかんないけど相当深いエフェクトを欠けてるんだなぁ。空間系のエフェクトにめちゃくちゃこだわっているバンドだ(周知の事実)。ソムの足元には多分マルチエフェクターが一台つながっていました。
選曲は不完全燃焼も感動の30分
と言うわけで演奏は衰え知らずのキレッキレプレイをかましてくれました。唯一不満だったのは選曲。今回は30分と言うこともあり、ファーストからの選曲のみだった。しかもわたしの心の名曲「The Art of Choking」や「Losing Touch」「If Only…」はやってくれず。
下北沢での単独公演では「The Secret Sessions」からの楽曲もやったらしく、神田明神は完全にリハーサルみたいなもんやったんやな。でも「Moodswings」における奇跡のグルーヴを体感できただけでもう十分。唯一無二でまた何度でも観たいと思える数少ないバンドである。
(誰か下北のレポート待ってます!!)
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