2000年代における超重要作
みなさん新型コロナウイルス対策お疲れ様です
新型コロナウィルスが猛威をふるっている。まさか自分が生きている間にこんな映画の世界みたいなことが起こるなんて思ってもみなかった。
仕事で自宅待機を命じられる。ライブハウスや映画館が休業し、経営危機に陥っている。消毒用アルコールやマスクが買い占められて手に入らない。年度替わりの歓送迎会も当然中止。
東日本大震災とともに100年後も語り継がれるであろう出来事だろうなと。もはや他人事ではなくわたしも先の読めない状況の中、自宅待機する日々を過ごしています。
しかし、やるべきことはやらなければいけない。わたしにできることは「人生で最も聴いたアルバム」を世の中に伝えることなのだ!!(誰も気にしてない)
というわけで、今回は惜しくもTOP10に入らなかった「もうすぐTOP10」のご紹介です。
全エモ系ファン必聴の大名盤をご紹介(2012年のレビュー)
そうですAt the Drive-inですね。「Relationship of the Command」は「まだこんな表現方法があったのか」と興奮しました。
だって、超絶ハイテンションとインテリ感が同居してるんですよ!頭悪そうな叫んでるだけのバンドとは明らかに目指してる地点が違っていました。
ただ、エモーショナル系バンドにありがちな、「1枚だけとんでもない名盤を残して後はソコソコの法則」に彼らものっとっております。 あれなんなんでしょうね。1枚だけで創造力を全部使い切っちゃうんでしょうか。
※解散後、復活してフジロックに出た時の映像は衝撃を受けました。オマー(ギター)のまったく覇気のない演奏、身体がたるみまくったセドリック(ボーカル)…めちゃくちゃガッカリしたのを覚えています。
ただし、この作品だけは2000年代における超重要作。 なぜかセールス的にはそこまで伸びなかったようですが、1000万枚くらい売れていてもわたしは納得しちゃいますね。
今回は、全エモーショナル系ロックファン必聴の大名盤の2012年に書いたレビューをご紹介します!
タモリ倶楽部「空耳アワー」グランプリの快挙
2001年末の深夜に一体何人のロッキンボーイズが天に拳を突き上げただろうか。我々はあの瞬間を忘れることはできないだろう。
そう、タモリ倶楽部「空耳アワー」の年間グランプリに我らがAt The Drive-inの「Sleepwalk Capsules」が選ばれたのだ。
興奮したね。いや、空耳が下ネタだったからじゃなくてさ。タモさんがAt The Drive-inを聴いているシュールな状況に。
「暴れたい衝動」部門第1位
まあそれはおいといて、ミクスチャーロックの到達点がこれだ。 当時はもうめちゃくちゃ聴き倒した。「暴れたい衝動」という観点では、これを超えるアルバムはない。
聴きまくったときは何も考えていなかったが、今思えば何がそこまで私の心を捉えたのだろうか。
振り返って考えてみると、当たり前の理由しか出てこない。やっぱりリズムがめちゃくちゃ気持ちよくて、ギターの音がカッコ良くて(当時のミクスチャーロックはとにかく太く重い音が主流だったが、彼らは違った。斬れ味重視の身軽でオーバードライブな音だったのだ)、心から歌を叫び、メロディが切なかったからだ。
「サルサダンス」と「足ピンお尻プリプリ唱法」
例えば「Pattern Against User 」はイントロこそセドリックの「へッ」で始まり、只者ではない感が全開だが、Aメロが始まれば普通のエイトビートだ。なのに何故か新鮮な疾走感がある。自由に動き回るギターとテンション上がりっ放しのボーカルのせいに違いない。
「One Armed Scissor」ではリズムとギターの斬れ味が半端ない。サビのバックトラックだけでご飯三杯はいける。オマーの「サルサダンスギター」とセドリックの「足ピンお尻プリプリ唱法」が目に浮かぶ。
圧倒的3D感で空耳アワーグランプリに寄与
前述の「Sleepwalk Capsules 」 の凄さは音圧の3D感である。勢いと一体感で冒頭からセドリックの声が前に飛び出してくるような錯覚に陥る。
「童貞ちゃうわ」 と歌いながら実は童貞なんじゃないかと疑わざるを得ない。全盛期の中2でないと出せない衝動である。空耳アワーグランプリにこの3D感が寄与したことは間違いないだろう。だって中2が飛び出してくるのだ。
「グッググリグリーッ!!」(Cut itと言っているらしい)
このアルバム名曲が多すぎて困るが、決定的なのが 「Rolodex Propaganda」。Iggy Popが参加している。まず、素晴らしいのがBメロのセドリック。イギーと掛け合いながら「cut it」の連射だ。これが「グッググリグリーッ!!」みたいになって最高にロックである。
その後急にギター以外は全員ストップモーションよ。シビれる。 エモーショナルなサビで泣きそうになるのは言うまでもない。
「Cosmonaut」で大爆発
最後に私がこのアルバムで1番好きな「Cosmonaut 」 を紹介しよう。バンドの一体感と爆発具合で言えば最強である。この曲通勤時に聴くとヤバい。アドレナリンが出て疲れが吹っ飛ぶ。もうこれは大音量で聴いてもらうしかない。
「身軽なヘヴィロック」というサウンドだけでなく、言葉選びも斬新だったのではないか。タイトルだけでも語感の良さは伝わるし、「Invalid Litter Dept. 」をじっくり聴けばさらに単語一つ一つの拘りに気付くだろう。
日本で奇しくも椎名林檎の「無罪モラトリアム」が出て以降、漢字二文字とカタカナという組み合わせが流行ったが、それに似たセンスを感じる。
解散後のメンバーの動き
彼らは解散後、The Mras Volta(オマー&セドリック)とSparta(ジム&トニー)に別れる。各バンドの音楽性には誰もが意外に思ったであろう。
フガジフガジいってたオマーとセドリックがプログレ方面へ走り、 レディへレディへ言ってたジムとトニーがAt The Drive-inを継承したある意味ストレートなロックバンドだったのだ。
結局どちらにしてもAt The Drive-inを超えることは出来なかった。
伝説化してしまっただけに、もし彼らがニューアルバムを出すとしたらプレッシャーはとんでもないだろう。しかし十年かけて乗り越えたと考えたら…サルサとお尻に期待大。
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