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Wilco 「Jesus, etc.」

00s

from「Yankee Hotel Foxtrot 」

白メガネのおっさんは色が黒い。ロリング君です。

誰だって「好きなんだけど人に言うのが恥ずかしいこと」ってあるよね。それがメタルだったりハードロックだったりアニメソングだったりアイドルだったりまあ色々あるんだろうけど、洋楽痛界きってのシティボーイでお馴染みのわたしにもある。

それは「オルタナカントリー」だ。

オルタナカントリーとは何なのか。わたしの認識では「クサくないカントリー」だ。欧米(主にアメリカだけど)におけるカントリーは日本における演歌に近い。とにかく感情を大げさかつストレートに誇張するため、音楽痛にはなかなか受け入れられない。カラッとした砂埃が舞うような、能天気な曲調のせいもあり世間的にはオッさん向けの音楽という認識だろう。

しかし、オルタナティブなカントリーは違う!!カントリーにUK独特の湿り気やパンクの荒々しさが加わり、よりリアルな感情の表現に成功しているのだ。と、わたしがどれだけ主張しても「カントリー」という言葉のインパクトが強すぎて、”なんかダサい感”という世間の印象はぬぐいきれていない。

かつて、そんな「オルタナカントリー」をクールな音楽にしようと孤軍奮闘したバンドがいた。ウィルコである。伝説のオルタナカントリーバンド、Uncle Tupeloの中心メンバーであったジェフ・トゥイーディーが結成。1st、2ndとドライなのに湿っている切ないロックな名盤を立て続けにリリースし、次はどうくるかと思ったところで「Yankee Hotel Foxtrot」よ。ジム・オルークが参加したことで一気に表現に深みを増した彼らのブレイク作である。

何が凄いかっていうと、アルバム全体の雰囲気がパリの街角なのである。カウボーイハットにサングラスのオッさんというカントリーのイメージは皆無で、音のタッチにまでこだわりぬいた繊細な音像が特徴だ。それこそオシャレなセレクトショップで流れていてもおかしくない、いやむしろそんじょそこらのオシャレ音楽よりオシャレだろ、と思わせるほどのオシャレっぷりなのだ。

そんなオシャレアルバムの中の決定打が「Jesus,etc. 」である。物哀しいメロディに儚いバイオリンが絡んで切なさを加速すると思わせておいて、音がドライだからセンチメンタルになりすぎないという、絶妙な音のバランスが天才的。コレを聴くたびにわたしは思い出す。繁華街で仲間と夜明けまで過ごし、始発を待って駅まで歩くときのあの澄んだ空気感。ジェフはきっとあのときのオレを描いたのだろう。Aメロの哀しさとサビのちょっとした希望が見えるメロディの対比はもはやポップソングを超えたアートである。

次作「The Gohst is Born 」も大好きなアルバムで、オシャレとロックのバランスが取れた名盤なのだが、世間のイメージを払拭するには至らず、結局オルタナカントリーの小さなブームも終わってしまった。

時々思い出してほしい。オシャレなカントリーもあったということを。

Apple Music : WilcoJesus, etc.

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