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New Radicals「You Get What You Give」

90s

from「Maybe You’ve Been Brainwashed,Too」(1997)

ジャケ買わない

真っ当に老害の道を爆走中、ロリング君です。

ジャケットの話。遠い昔…まだこの世に「CDを買う」という行為が存在していた頃。曲はひとっつも知らんけどジャケットがなんかかっこいいから買ってみよ!を意味する「ジャケ買い」という概念が存在した。また、それを逆手にとってあえて絶妙にダサいジャケットにすることで「こいつセンスあるな」感を見極める「逆にジャケ買い」というのもある。

しかし、ジャケットがストレートにダサいとき…それはただの「ジャケ買わない」となる。そしてその場合、大抵音楽もイケてない。だってビジュアル的感覚は音楽にも通ずるから。

かつて、その常識を力業でねじ伏せた奴らがいた。New Radicalsである。みてよこのジャケ。ワゴンセール臭しかしない。これ、時代の問題ではく、当時からダサかった。このアルバムから稀代の名曲が生まれるとは誰一人想像がつかなかったのではないか。

You Get What You Give」…タイトルで人生の本質を突いてしまっているが、フロントマンでソングライターのグレッグ・アレキサンダーはこの一曲で我々ロッキンボーイズの心に大きなインパクトを残したのである。今回、そこ名曲誕生の秘話(妄想)をお伝えしよう。

グレッグ兄貴は学生時代、背は高かったが、クラスではまったくイケていないグループに属していた。当然モテない。グレッグ兄貴は音楽が好きだった。とりわけポップなメロディのもつマジックに夢中だった。

好きな女の子もいたが、まったく相手にされない。アメフトなんかよりロックのほうがカッコイイ…そう信じていたグレッグ兄貴は自分でバンドをはじめる。とはいっても、当時流行っていた筋肉ムキムキのハードロックではない。トッド・ラングレンのような、ナイーブなポップソングを目指した。

バンドを始めても一向にモテない。まずグレッグ兄貴は服がダサかった。パフォーマンスもぎこちない。その時点で曲に興味を持ってもらえなかった。しかし、グレッグ兄貴の書く曲は荒削りだったが、強い信念が感じられた。

まったく芽が出ない音楽活動。それでも、音楽しか打ち込めるものがなかったグレッグ兄貴は学校を卒業後も活動を続けた。なんとかソロアルバムを2枚リリースするも、ヒットの兆しはなかった。

グレッグ兄貴は風向きを変えようと、新たにバンドを結成した。「New Radicals」と命名した。そして、グレッグ兄貴はついに心から納得できる曲を書いた。「You Get What You Give」というタイトルをつけた。後に様々なアーティストがカバーし、賛辞を送ることになる歴史的名曲の誕生である※。

その曲には強いメッセージが込められていた。「お前の夢が死にかけても諦めるな。お前には音楽がある」それはライブのお客や未来のリスナーに向けてのメッセージではなかった。くすぶっていた過去の自分へのメッセージだったのである。結果、享楽的なグルーヴと胸を打つメロディ、そして真っ直ぐな歌詞という全てを兼ね備えたあまりに感動的な曲となった。

夢だったメジャーデビューを果たし、1997年に「Maybe You’ve Been Brainwashed,Too」をリリースしたグレッグ兄貴。シングルカットされた「You Get What You Give」はそのメッセージ性から、多くの若者のアンセムとなり、90年代を代表するヒット曲となった。

しかし、「You Get What You Give」に続くヒット曲は生まれなかった。ツアーに疲れたグレッグ兄貴はバンド活動に興味を失い、結局アルバムを一枚残しただけで1999年にNew Radicalsは解散した。そして、いわゆる一発屋として認識されるようになった。

その後兄貴は音楽活動は続けたものの、裏方中心で、スポットライトを浴びることはなかった。物語はここで終わるかのように見えた。

……70年代に活躍したサンタナというラテンロックバンドがいた。80〜90年代はチャート的に低迷していたが、旬なアーティストとコラボレーションした1999年作の「Supernatural」が世界中で大ヒットし、大復活を遂げた。

サンタナは続く2002年のアルバム「Shaman」でも様々なアーティストとのコラボレーションを行った。その中の一つにミッシェル・ブランチをフィーチャリングした「Game Of Love」があった。

「Game Of Love」はシングルカットされ、ヒットした。享楽的なグルーヴと胸を打つメロディ、そして真っ直ぐな歌詞…特にBメロのファルセットは曲のハイライトと言えた。素晴らしい曲だった。と、同時にどこかで感じたことのある感覚でもあった。そう、まるでNew Radicalsの「You Get What You Give」の続編のような曲ではないか。

それは裏方として音楽活動を続けていたグレッグ兄貴の作品だった(「You Get What You Give」と同様にRick Nowelsとの共作)。全米チャートでは

最高位5位を記録。さらにグラミー賞Best Pop Collaboration With Vocalを受賞。兄貴は見事な二発目を放ったのだ。サンタナのコラボレーションシリーズでは最高のクオリティといってよかった。

以降、グレッグ兄貴の目立った活躍は耳に入ってこないが、冴えない見た目で音楽のことしか頭にない兄貴が残した結果は、我々ロッキンボーイズに大いなる希望を与えてくれた。「良い歌」が当たり前のように評価される世界。我々の夢を兄貴は少しだけ実現した。

※U2のエッジはインタビューで「最もジェラシーを感じる曲だ」とし、「自分が書いた曲だったらよかったのに」と語った(Wikipedia参照)。

Apple Music: New Radicals You Get What You Give

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