from「Dirty Computer」
アンチ”ダークなヒップホップ”
暗いヒップホップが流行りすぎ
アメリカのヒットチャートを見てるとここ20年くらいダークなヒップホップがずっと流行ってるやん。あれなんなんやろね。文化の違いとはいえ、もうオレ欧米人より欧米人やんというくらい欧米の文化に触れてきているのに全く良さがわからない。
なーんか単調なトラックにのせて「ヘイヘイヨヨヨー」って言ってるだけの(ような)曲が上位にランクインしてるやん。この良さわかってるワタシカッコイイみたいな感覚なんだろうか。メロディアスでもないし、切ない訳でもないし、攻撃的なわけでもないし、踊れる訳でもない。どういう感情やねんと。
自由度の高さが魅力のヒップホップ
でもヒップホップにも良いところはあって、自由度がひたすら高いのよね。リズムの特性もあると思うんだけど、遊べる部分が多い。
歌っても良いしラップしても良いし、サンプリングしても良いし打ち込みでも生楽器でも良い。音程が外れていようが全てを飲み込んでしまう包容力。
ただやっぱり暗くて盛り上がりがないのって結構キツイ。もう最近はみんなが大好きなはずの歪んだギターなんか全然聴こえてきまへんわ。
Lil Nas X、「In Bloom」に似てしまう
そんな中、嬉しい?ニュースを目にしたよ。今最もヒップでホップな若手ラッパーLil Nas X氏の「Panini」がニルヴァーナの「In Bloom」をサンプリングしていると話題に。でも結局本人は聴いたこともなくてたまたまサビのメロディが似てしまっただけということらしい。
実際、確かにメロディのパターンは似てるけど雰囲気はまったく別物で、知らなかったっていうのは本当なんだろうなと感じた。でもちゃんとカートの名前がクレジットされてるところがなんか嬉しいよね。
カラフルなアレンジと堂々とメロディアス
で、「Panini」も名曲なんだけど、今回はその話ではなくて、ジャネール・モネイ氏なのよ。彼女の素晴らしいところは、自由度全開でカラフルなアレンジにメロディアスであることを恥じない姿勢だと思うのです。
ギターも打ち込みもラップもブライアン・ウィルソンも全部ぶち込んで曲にまとめ上げるセンスもずば抜けてる。
半音ずつ下がるメロディが斬新
中でも「Make Me Feel」は普段ヒップホップを聴かない人にも響くであろう傑作。なんといってもトラックが盛り上がってないのにここがサビだって認識できちゃうし、「a little bit of tender」の半音ずつ下がっていくメロは「なんやその手があったんか!!」と叫ばずにはいられない変化球。ここが良いアクセントになってただのステキなファンクの域を超えているよね。素晴らしいね。
ファンクなギターにダンス系の打ち込みも織り交ぜながらしかもすんげぇメロがしっかりしているという難しいことをさりげなく遣り遂げる。
流すだけで幸せになれる
アホな表現をすると彼女のとにかく流しているだけで幸せな気分になれる。暗いヒップホッパー達が少しでも見習ったらこの世はよくなるんじゃないかと言うレベルである。
斬新なメロディ&アレンジの宝庫とも言える「Dirty Computer」、ロックファン達にとっても必聴盤と言えるんじゃないのかい。「I Like That」とかもう切なくてゆったりしててダンサブルで最高やん。
彼女の音楽は日常を忘れさせてくれるほどに刺激的なので、休日に流して仕事なんか忘れちゃいましょう。
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