from「Love Me/Love Me Not」(2018)
Tokyoの景色
友人から教えてもらったエレクトリックデュオ。名前が「ホンネ」で自身が立ち上げたレーベル名がなんと「タテマエ」レコード!こんな名前でイギリス人とはセンスがある。歌詞にもTokyoがよく出てくるし日本びいきであることは間違いない。
音は優しくスタイリッシュなエレクトリックポップで、オシャレでスマートな印象を受ける。感情はそこまでさらけ出さず、クールなんだけどちょっと切ないという、まさにTokyoにふさわしい雰囲気を纏っている。
彼らが2018年8月にリリースしたアルバム「Love Me/Love Me Not」はリラックスしたいときに部屋に流しておきたいアルバムなのだ。なんだかんだで休日に必ず一回は聴いているような気がする。
なぜ聴きたくなるのかを考えてみると、どの曲も盛り上がりの起伏が抑え気味であることがポイントではないかと気づいた。メロディはちゃんと盛り上がっているが、アレンジは爆発しない。
サビで声を張り上げるわけでもなく、音が分厚くなるわけでもない。曲の展開がある意味淡々としているから流していても疲れない。ただ心地よい。EDMになれた耳には新鮮かもしれない。
一方でメロディは感情豊かで人間味があって、ボーカルは太く安心感のある低音ボイス。クールなトラックと対照的でとてもいいバランスが保たれている。
アルバムのオープニングを飾る「I Might」が彼らの魅力を凝縮している。ジャジーなピアノから始まり、エレクトロなビートが絡んで、人間くさいメロディと融合する。サビではコーラスも重なり、ちょっとだけ盛り上げる。でもアゲすぎない。ゆったりとしたテンポが秋の夜風にちょうどいい。無機と有機がうまく共存している。
アルバム全体的にとてもメロディのクオリティが高く、飽きさせない。わたしのような田舎者が憧れるTokyoの景色がここにある。彼らのおかげでどこにいても都会の空気と哀愁をリアルに感じることができるのだ。