from「The Photo Album」(2001)
オタクの居場所
新幹線 スマホが床に 落ちる音 ロリング君です。
わたしは基本的にひじょーにメンタルが弱くナイーブで繊細な心を持ったメンズ、通称”センシティブ戦士”でここまでやらせてもらっている。すぐ落ち込むし心配性だしもうオレなんか死んだほうがマシっていうのが口ぐせだし。
さらに、わたしには男らしい趣味がないというコンプレックスがある。友人は野球やプロレスや釣りの話で盛り上がったりするのだが、わたしにはそういう話題についていく知識がない。なぜ興味を持てないのかよくわからないが、普通のメンズが興味を持つことにあんまり興味を持てないことがどこか寂しくもある。
音楽で言うと、ハードロックやヘヴィメタルも苦手だった。パールジャムやスマッシングパンプキンズなどそういう要素を取り入れているバンドは愛してきたが、ストレートな男らしさや男くささというものを避けてきた。
そんな中、オタクっぽい奴らがめちゃめちゃ繊細な音楽をやって、かつ商業的にも受け入れられたという革命が起こった。それがDeath Cab For Cutieである。彼らの音楽を初めて知ったとき、「こ、これワイやないか!」と手が震えたのを覚えている。いや、実際に震えてはいないだろうけどとにかくのめり込んだ。
オタクっぽい奴らがロックしてる、という文脈ではWeezerもその代表だ。「HR/HMが好きなオタクっぽい奴ら」のブレイクは大きな希望となった。その希望をさらに推し進めたのがデスキャブなのである。世界中のセンシティブ戦士は彼らに救われたのだ。オレの居場所あるやん、ってね。
Weezerはそのポップな音楽性から、可愛さという武器があった。ヘヴィなギターとルックスのアンバランスさも魅力だった。しかしデスキャブは違う。デスキャブ可愛くない。キューティー要素なし。
彼らの魅力はそんなところにはない。彼らの武器はギター、キーボード、ベース、ドラムのセンチメンタルで繊細なアンサンブルである。特にキーボードが入ると彼らの真価が発揮される。
彼らの楽曲の中で特にお気に入りなのが「Blacking Out the Friction」である。温かみのあるエレピのリフで始まり、そこにギターの鋭いカッティングが重なる。十分に溜めたあとにドラムとベースが加わる。このアンサンブルが永遠に聴いていられるのだ。超シンプルで切ないリフ。ちょうどいい感触でちょうどいいグルーヴ感。わたしにとってデスキャブとはこれなのである。
永遠に聴いていられるリフだけでも贅沢なのに、そこに歌が乗るのである。当たり前だけど。なんというか、悲しいわけではなく、真冬に暖かい部屋で一人でコーヒーでも飲んでいるような切なさなのだ。くぅ、たまんねぇなぁ!!
声も絶妙で、ベッドルームで録音するのに近所の迷惑にならないような発声法がセンチメンタルを倍増させる。しかもフニャフニャではなく、安定感も抜群。
数々の名曲をもつデスキャブだが、彼らを知らない人に紹介する一曲はこれがベストだと信じている。