エキゾチック近未来Tokyo
from「Hyperspace」(2019)
ひねくれたコード進行への憧れ
ひねくれたコード進行への憧れってあるやん?oasisのLive Forever(ストレートな進行)でギターを覚えた身からすると、ひねくれたコード進行であるにも関わらずポップな曲っていうのに憧れがあるわけですよ。
サイケデリックにしようと思ってただひねくれてるだけのバンドは多いけれど、かつポップを両立させてしまうクリエイティビティを発揮するアーティストがいるわけですよ。
そういうのってすげぇカッコ良い。普通に感動的な曲は書こうと思ったら書けるけど、俺たちはさらに上を行くぜ…みたいな。
初期のコールドプレイ、ひねくれてた
初期のColdplayなんかまさにそうだった。物悲しい暗ーいコード進行なのに、メロディはキャッチーで、ギリギリポップになりそうなところを奇妙な展開でかわす、という高等テクですよ。「Clocks」なんか好例ですよね。
それが最近ではわかりやすく感動的で、彼らの音楽性が変わってしまったんですね。少々寂しいですが、変化し続けるのがアーティストのあるべき姿ですから。
さて、そういうひねくれポップな曲ってなかなか出会えない。そういう方向目指しているアーティストはいても、こっちからすると求めてるハードルが高いもんで、だいたい「はーん、そういう感じね」って感じで終わってしまう。
しかし、最近であったのよ。ひねくれポップの名曲に。
Chemical、美しく怪しい傑作
そうなんです。Beckの「Chemical」なんです。これがひねくれポップ研究所代表のわたしから言わせてもらうと、ここ10年で最高の出来な楽曲なのである。
この曲が持っている空気感…ヤベェのよ。マジで異世界に連れて行ってくれる。外国人がイメージするTokyoっていうか、エキゾチックで近未来的な映像が目に浮かぶ。美しいメロディに怪しいコード進行。 ジャケはレトロなのがまたえぇやん。
しかも曲はあくまで自然に流れていく。ドヤ顔感がないというか、当たり前の顔して進んでいくのがスゴイ。背伸びしてない。ここまで怪しいコード進行使ったら不自然になるで普通。
サビのコードはC→B→E→C#m。午前2時くらいのネオン街の響きやん。どれも見慣れたコードなのに組み合わせでこんな新鮮な響きが生まれるなんて。音楽って面白いね。
Beck、カワイイだけじゃなかった
Beckってさ、学生時代、軽音サークルの女子たちがWeezerとセットでカワイイって言われてた二大巨頭の一人なのよね。カワイイってなんやねんと。ロックをカワイイかカワイクないかで聴いとる場合かって感じでワイは怒ってたんや。嫉妬やない、これだけはハッキリしてる。
しかもBeckって立ち位置がハッキリしなかったというか、めちゃくちゃ歌が上手いわけでも楽器の名手というわけでもなく、ポップなわけでもなく、激しくもない…なんなんだと。
そういうのもあってなんとなくハマらずに来たわけだが、ついに見えた。Beckとオレの20年目の再会。Beckで一番好きな楽曲になるかもしれない。
Hyperspace [12 inch Analog]
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