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At the Drive-in「Rolodex Propaganda」

00s

from 「Relationship Of Command」 (2000)

缶コーヒー業界に砂糖なしミルク入りコーヒーがもっと普及してほしいロリング君です(人工甘味料はこの世から消えてなくなれや)。

パンクってどうよ。パンク好きですか。いやー実はわたしすんげぇ苦手なんです。パンクっていわゆるセックスピストルズやパティ・スミスを代表とする破天荒な服装とパフォーマンス、ポップな音楽性そして反社会的な歌詞、といった具合だろうか。

わたしがパンクに対してどうも納得いかないのが、社会に対する主張重視で演奏が二の次になっているところ。ルーズな演奏も含めてバンドの思想を表している、ということは重々承知しているのだが、演奏のユルサがどうも幼稚でドンくさい。ちゃんとやれや。

もちろんこれは完全に好みの問題である。パンクにも時代を超えた名盤がある。パンクを受け入れられるかどうかは、音楽に何を求めているのかにもよる。多分、スタイリッシュなR&Bを楽しめる人はパンクを楽しめない。その逆もまたしかりで、パンク好きな人は大人っぽいブラックミュージックに気恥ずかしさを覚えるのではないか。

わたしはどこからどう見てもスタイリッシュシティボーイなもんですから、完全に前者なわけですよ。しかし、そんなわたしでも、パンキッシュなもの全てを受け入れられないわけではない。

パンクから派生したジャンルは沢山あって、ニューウェーブ、グランジ、ハードコア、メロコア、エモコア…と様々だが、パンクの一部の要素を抽出し消化したアーティストは飛び抜けてカッコよかったりする。ニルヴァーナ、パールジャム、ストロークス、そして…アットザドライブイン!!(オッさん趣味)

エモーショナルハードコアをアートの域まで到達させたアッドザドライブインの歴史的名盤「Relationship Of Command」。セドリックの張り裂けるシャウトと知的なリリック、オマーのメロディアスかつ斬れ味の鋭いギターは衝撃的だった。勢いだけのハードコアと決定的に異なるのは破壊力とメロディと前衛のバランスである。どれか1つが欠けてもアットザドライブインではなくなる。

ソロワークも含めて彼らの他の作品においてもこのバランスを保てているものは見当たらない。彼ら自身、もう二度と取り戻せない煌めきがここにある。「Relationship Of Command 」は奇跡の作品なのだ。

このアルバムで一番聴いた楽曲といえば…名曲が多すぎてヒジョーに難しいところだが「Rolodex Propaganda」を紹介したい。デトロイトパンクの大御所イギーポップとの共演もさることながら、Aメロにおけるグニャグニャ変態リフ&ザックデラロッチャばりのラップからのBメロへの流れがまず天才的。混沌としたAメロからのBメロでギターも歌も鋭くメリハリをつけちゃうのが上手い。

素晴らしいのがセドリック。イギーと掛け合いながら「cut it」の連射だ。これが「グッググリグリーッ!!」。最高にロックである。その後急にギター以外は全員ストップモーションだ。シビれる。エモーショナルなサビで泣きそうになるのは言うまでもない。

これ聴いたあとは切ないくて激しいだけのエモコアなんて聴けたもんじゃないね。彼らの最初で最後の大名盤、エモーショナルとはこういうことだ。

Apple Music: At the Drive-inRolodex Propaganda

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