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【朗報】ロリング君、ジャズについて本気出して考えてみる

Column
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自分なりのジャズの楽しみ方がまだ見えない人たちへ

ジャズ…「興味はあるけど曲は長いしアーティスト多すぎるし歌がないのばっかりだし敷居が高くてどうにも聴く気にならないんだよなぁ」と思っている人は多いのではないでしょうか。

わかります!!かつてはわたしもそうでした。

今回はようやく自分なりのジャズの楽しみ方が確立されてきたので、お伝えしたいと思います。「ロックは聴くけどジャズにまだ踏み出しきれていない方」の参考になれば幸いです。

ジャズの何が楽しいのかよくわかっていなかった

ジャズに関しては、もともとわたしのオトンがジャズ&オーディオマニアということもあり、子どもの頃から触れてきてはいました。しかし休日にずっとオトンがジャズを流しているのを聴いていて、「こんなん何が楽しいんや」といつも思っていました。

大学生から社会人になる頃にはマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、キース・ジャレット、ビル・エヴァンスを聴くようにはなりましたが、どういうところが好きなのか、何を楽しんでいるのかがはっきりと理解できていませんでした。

また、ロックやポップスと比べ、つかみどころがなくて難解な印象があったから、聴く回数は多いというわけではありません。

実はジャズって宝の山なんじゃないか…!?

しかし、自分がオッさんになるにつれ、少しずつ考えが変わってきました。

まず、実はジャズって好きになれたら宝の山なのではないかということ。1アーティストあたりの作品数がめちゃくちゃ多いし、伝説的有名アーティストに絞ったとしても、一生かかっても全部の作品を追うことは不可能でしょう。

死ぬまで楽しめる趣味としてコレほど優秀なものがあるでしょうか!?オーディオにもこだわれるし、ライブ盤まで追求し出したらもう退屈している暇はありません。

また、ジャズとはなんなのかを考えました。コレが今回のポイントです。

モードジャズこそがジャズの真髄

ジャズで難解なのが、マイルス・デイヴィスが「Kind Of Blue」で確立したとされる「モードジャズ」以降のジャズです。ジャズを楽しむためにはここを通過しなければいけないと感じていました。

モードジャズとは、めちゃくちゃ単純にいうと、ソロの旋律がコード進行に制限されてしまうのを嫌い、旋律を中心捉えて自由なソロを演奏しようぜ、ということのようです。好きにソロやらせてくれや、と。

Miles Davis – So What (Official Video)

専門的な難しいことはわたしもよくわかりません!!笑が、コード進行が明確だと展開がわかりやすく、盛り上げやすい反面、コードの構成音に縛られてしまうため、ソロがパターン化されてしまう。

一方、モード奏法では、自由に演奏ができるものの、盛り上がりがなく地味になってしまうというデメリットもある。

ただ、モードジャズは地味で難解だけれども、ロックやポップスにはない、ジャズの奥深さがここに凝縮されていると思ってました。

じゃあモードジャズをどうやったら楽しめるのかジャズを聴きながらを悩んでいたところ、ある時わかったのです!

ジャズはアーティストの精神性そのものが表現されている

モードジャズを選んだアーティストは、コード進行の明確な盛り上がりを超えた、より高みを目指しているということ。ということはその演奏には「アーティストの精神性が現れている」と気づきました。

ロックやポップスみたいに「作品」というわけではなく、考えとか意識の在り方を音の流れで表現したものだと思うのです。

だからそこで鳴っている音はカチッと決まったものではなく、ぼんやりとした塊というか方向性みたいなものであり、アドリブやアレンジの自由度が大きいのだと考えています。

「ポップスを高度にしたジャズ」はみんな理解できる

もちろん、デューク・エリントンやカウント・ベイシーのようなビッグバンドであればカチッとアレンジが必要です。ただ、それはジャズというよりも「ポップスをさらに高度にしたもの」であり、ここでいうジャズではありません。

Duke Ellington, "Take the A Train"

また、誰でも理解できるロマンティック系のジャズ(ビル・エヴァンスの「Waltz For Debby」とか)もここでは対象外とします。もちろん名曲がたくさんあるし、わたしも大好きですが、あえてチャレンジするまでもなくBGMとして受け入れることができますもんね。

Bill Evans – Waltz For Debby

モードジャズは人間の精神世界を描いているんだなぁと思えって聴けば良い

本格的に精神性が表れるジャズになったのは、先ほども挙げた帝王マイルス・ディヴィスがコード進行にとらわれないモード奏法を編み出してからだと思います。

そこからジャズはなんともつかみどころのない、意識高い系の音楽になっていきました。さらにオーネット・コールマンらがフリージャズを推し進め、ジョン・コルトレーンらもそれに続き、マイルスも実験性の高い音楽にシフトしていったことから、ますますジャズは大衆性を失ってしまった。

Ornette Coleman- Free Jazz

ロックやポップスのように明確な感情を表してくれないジャズ。それにどう向き合えば良いのかというと「あぁ、ジャズって人間の精神世界を描いているんだなぁ」と思えば良いのです。

曲よりもいつ誰が演奏したかが大事

一音一音ではなくて、全体の流れを感じる。曲を覚える必要もありません。その印象だけを覚えていれば良いと思っています。

そして、これはジャズファンからすると暴言かもしれませんが、あえて明言させてもらうと、ロックやポップスと異なり、ジャズは曲にあんまり意味はありません。「誰がいつ演奏したものなのか」が一番大事。

ジャズとは宗教みたいなものです。教祖(アルバムのリーダー)がそのとき何を考え何を感じていたかが表現されているのがアルバムとしてパッケージされています。

そしてその教祖には志の高さが求められます。目指しているところが高ければ高いほど、その作品に深みが出ます。

皿洗いの途中に口ずさめるようなヒット曲を作ることではなく、精神的探求が目的のアーティストが自分の思想を刻むためにレコードを作った。そういう認識がまず必要なんだと思います。

ジャズを楽しむには知識が必要不可欠

コレは「ジャズを聴くには知識が必要」ということにもつながります。どういう文脈でこの作品が生まれたのかを理解するのとしないとでは、楽しみ方に大きな差が生まれます。

なので、ジャズを聴こうと思ったらその前にWikiでも音楽誌の記事でも良いので、事前にアーティストについて下調べをすることをお勧めします。その上で、そのアルバムがどういう流れで作られたのかを踏まえて聴くと、ジャズがただの音の羅列から、「アーティストの精神世界の体験」に変わることでしょう。

オススメ作品John Coltrane「A Love Supreme」(1965)

それではもし、コレからジャズの世界に飛び込みたいと思っている人にオススメしたい作品は何かと聴かれたら、わたしはJohn Coltraneの1965年の作品「A Love Supreme」を推します。

John Coltrane – A Love Supreme [Full Album] (1965)

理由は二つあって、まず、単純にジョン・コルトレーンのサックスの中低音の響きが心地よい。心地良いと言っておきながら単に心地良いとかで済ませてはいけないレベル。

彼のサックスを聴いていると、自分の体が楽器になったかと錯覚するほどに身体の芯に届く。そしてちょっと無理して高音を吹く時のかすれ具合のカッコ良さ。

この音をずっと浴びていたいという欲求が出てきます。隙間なく音を敷き詰めるように吹く様を「シーツオブサウンド」と評されていますが、その意味がわかります。そう名づけた評論家も彼の音をずっと浴びていたかったんでしょう。 ※「A Love Supreme, Pt.3:Pursuance」でシーツオブサウンドの代名詞「Giant Steps」ばりの性急な演奏が聴けます。

ジョンの志の高さを体感できる名作

二つ目に「志の高さ」です。このアルバムはたった4曲で構成されていて、全てのタイトルに「A Love Supreme」が命名されています。コレこそが曲自体に大きな意味はないと言っているようなものです。アルバム全体でジョンの精神が大きく表現されていると感じます。

「Love」とは言っても決してセンチメンタルなものではなく、名作「Ballad」で極めた「美しい」とか「ロマンティック」を超えたさらに上の表現に到達しています。メロディアスでありながらどこにも着地しない不思議なスリリングさ。

と言ってもわたし自身がまだ完全に理解出来ているわけではありませんが、少なくとも何度聴いても飽きのこないマジックの存在は保証します。

ポップスともロックとも違う世界を味わってほしい

わたしの「ジャズはアーティストの精神を表したもの」論を端的に示している作品として紹介しました。コレがポップスやロックではなかなか味うことが出来ない感覚なんですよね。強いて言えばRadioheadやToolなんかの作品は近いものを感じます。

ただ、ジャズにはそれらとも違う世界があります。もっと型にはまらない、精神の曖昧さまでそのまま表現してしまうような危うさとでも言いましょうか。

ぜひ、新しい刺激を求めている人に聴いて欲しいと思います。

ジョン・コルトレーン・インタヴューズ

コメント

  1. ミネらないウォーター より:

    こんばんは。
    僕は、「ジャズとカントリーはエクストリーム・ミュージック」だと思っています。
    高度な演奏技術を持った達人による、荒ぶるインプロヴィゼーション、そのスリルが僕は好きです。
    そんなに詳しいわけでもないんですが、ジャズって聴けば聴くほど「オシャレ」とか「大人っぽい」みたいな典型的なイメージが覆されていって、もっとヒリヒリした危なっかしいものに思えてきます。
    次にどんな音が飛び出してくるのか、聴いてる側どころか演奏者自身にも分かってなさそうなエクストリームさとか一回性みたいなものに強く惹かれますね。
    即興演奏って、演奏者の心に浮かんだフレーズ(もっといえば心象風景)が直結でアウトプットされる行為なわけで、だとすればロリングさんの「ジャズは精神を描いた音楽」という考え方にもうなずけます。
    なんか長文になってしまいました。すみません。アルバムベスト10も楽しく読ませてもらってました。
    ではまた。

  2. ロリング君 より:

    ありがとうございます!「エクストリームミュージック」という考え方、なるほどですね。テクニック、自由度といい、確かに音楽の極限といっていいとおもいます。

    表現している感情が明確なポップ・ロックと違い、とても抽象的なので、聴き手の解釈の幅が大きくて、ある程度の理解力が求められます。

    その表現の在り方もエクストリームなのかも知れません。ナイスな形容、ありがとうございました

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