2020年ベストアルバム早くも決まる
刺激的な作品との出会いを諦めていたこの頃
どーも。近所の居酒屋のテイクアウト弁当が安くて美味い。ロリング君です。
最近「なにこれ…スゴいカッコいい…」って思う作品に出会わないなぁって思っていたんですよね。
どんな作品聴いても衝撃を受けて夢中になるようなことがなくなって、良くも悪くも「あーアレ系ね」とか先の展開が予想できたりとか。
だからこそ「人生で最も聴いたアルバム」のことを書こうと思いたったということもあります。
ビリー・アイリッシュはさすがに「なんじゃこれ!?」って思ったけど、それは「これが大ヒットするアメリカすげぇ」っていう驚きの方が大きかったかなぁ。
近頃はむしろ昔のジャズ聴いてる方が新たな発見があるよなぁくらいに思ってました。
Fiona Appleの5thアルバムがとんでもないことに
ところがFiona Appleの5th「Fetch the Bolt Cutters」ですよ。リリースされていたのを見かけたので、ホント何気なく聴いてみたんですよ。そしたら「おぉおお!?」ってなりましたね。
彼女の作品は美しいバラードがいくつも収録されていたファーストが一番大好きで、以降はその衝撃を超えることはなく、そこまで熱心にフォローしていなかったんですよ。
しかし、今作でわたしの中で熱い想いが再燃。こんな情熱的で衝動的で創造性に溢れた音楽を作っていたなんて。
これまでとは違う新しいアプローチで作曲していながら、「ピアノと歌」という彼女の良さもこれまで以上に活かされているというレアな成功パターン。
ビートとアコースティックな音で生み出す新感覚
今回のテーマは明らかに「ビート」。民族音楽のような原始的なビートに始まり、彼女のピアノがのるようなイメージの曲が多い。 多分、リズムパターンから作曲を始めているのではないか。実際「Drumset」という曲もあるくらいだし。
素晴らしいのが、アコースティックな音作りでありながら、まだこんな新しい感覚の音楽が作れるんだという驚きを与えてくれること。
多くのアーティストがエレクトリックな音に可能性を求めるこの時代に、ビートとコード進行と歌メロで刺激的な音楽を生み出すという気概に感動する。
挑戦的かつ美しい楽曲の連発。迫力のボーカルも健在
洋楽痛のあなたが「I Want You to Love Me」を聴けばそのヤバさに気づくことでしょう。「これはそんじょそこらの作品じゃねぇ…」ってわたしも思いましたよ。
美しさの中にホラーテイストが混じったピアノイントロ。迫力のあるボーカル。しかしこれはほんの序章に過ぎないんですよ。
「Shameika」ではさきほどの雰囲気をさらに加速する。ドラキュラ城のBGMかよっていうくらいのオドロオドロしいサウンドから急にダンサブルなストップモーションに切り替わる。ミュージカルのようなメリハリの付け方が刺激的で、この2曲をならべるのがまた上手い。
変拍子かつテンポチェンジで攻める挑戦的な「Relay」ですらポップに聴かせる豊かな音楽性を持つフィオナ。エレクトリックな音色に頼らなくても、新しい音楽って作れるんだなぁと教えてくれました。
「Ladies」と「Cosmonauts」クッソ名曲
わたしが一番好きな曲が「Ladies」で、曲の始まりは「Ladies,Ladies,Ladies…」となんだか謎のお経のような気味の悪さがあるんだけど、コードが乗っかってきたらとても綺麗なメロディが浮かび上がるという素晴らしい構成なんですよ。
スタンダードな雰囲気と彼女特有の危険な香りが融合した名曲ですわ。もう大好き。
「Cosmonauts」ボブ・ディランのようなAメロからはかないフィオナ節に変わったと思ったら力強いドスの聴いた声で歌ったり、メロディの抑揚がまるでジェットコースターのよう。何かにとり憑かれてるとしか思えない。マジですげぇわ。
というか、このアルバム、どの曲も「なぬっ!そうきたか」と思わせるアイデアに溢れていて、フィオナの歌もこれまでで最強にソウルフルなのだ。
前作から8年!ぶりといいながら、創造性が溢れて一気に作ったような印象を受ける。それほどに自然でフレッシュで確信に満ちたサウンドに聴こえる。
もう今年はこれ以上の作品は出てこなくてもおかしくないかなぁという印象。つーかとりあえずこれだけ聴いときゃいいよ。
友人の評価はイマイチでもShe’s So Good
と、思ってフィオナアップルを聴いたことない友人に勧めたら「いやこの人狂気しか感じんくて怖いわ」と言われ、あぁそういうもんかなぁジャケットも危険な香りするもんね…としみじみしました。
人によっては怖いかも知れないけど、わたしにはとても刺激的で、コード進行と歌とビートの可能性をさらに広げてくれた大切な作品となりました。
ぜってぇ聴いてくれよな!
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