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【投稿作品】Queen & David Bowie 「Under Pressure」by ワイルドサイド古山

80s

from 「Hot Space」(1981)

〜妥協無き創造神たちの授けもの〜

どんなジャンルでもコラボレーションものって楽しいですよね〜。

「ルパン三世vs名探偵コナン」とか、「エヴァンゲリオン新幹線」とか、或いは「プロ野球オールスター戦」などなど、普通はあり得ない非日常的な光景って、ドキドキします。

そんなわけでコレですよ、クイーンとデヴィッド・ボウイの「Under Pressure」。

この曲、変な曲なんですよね。

どこが変って、明確なサビが無いんですよ。

もっと言うと、同じメロディが繰り返されることがほとんど無い。

こちらのサイトをご覧の洋楽痛の皆様はご存知の通り、いわゆるポップソングには、ある程度フォーマットが有りますよね。一般的に「Aメロ→Bメロ→サビ」を1セットとして、途中間奏などを挟みつつ、同じパターンが数回繰り返されることが多いものです。

これは、①繰り返しという形式を採ることによってリスナーに曲を強く印象付けられる ②同じパターンを使うことによって曲の完成を早めることができる という制作サイドのメリットが有るものと考えられます。もちろんリスナーとしてもリピートがある曲は親しみやすいですよね。

そんな流れで、この「Under Pressure」をざっと見渡してみましょう。印象的なベースラインのイントロの後、一応「(Aメロ→Bメロ)×2回」に準ずる部分まではコード進行で判別できます。しかし、Aメロは1回目と2回目でメロディが全く違い、Bメロも2回目は後半部に別セクションが現れます。更に、それ以降はめまぐるしく展開が変わり、同じメロディが歌われることは有りません。サビらしいサビも見当たりません。

せっかくのスター同士のコラボなんだから「目指せ!ポップソングで大ヒット!」みたいな単純明快なノリでも良さそうな気もするんですが、この曲はなぜこんな奇妙な曲調になったのでしょうか。

どうやらこの曲の制作中、クイーンとボウイはバチバチに衝突していたそうです。そこから察するに、クイーンとボウイのエゴとエゴのぶつかり合いが、このような複雑な展開を産んだのではないかと私は思うのです。

ちなみに「Under Pressure」の原型とされる「Feel Like(作曲ロジャー・テイラー)」という曲のデモを聴くと、シンプルな構成で、地味な印象を受けるのが正直なところです(未完成であることも、そうした印象を受ける理由の1つかも)。

もちろん、ただ複雑にするだけなら、彼らくらいの音楽的スキルが有ればいくらでも出来ることでしょう。このコラボレーションの凄いところは、複雑な構成でありながらも、「美メロの応酬+高い歌唱力+卓越したアレンジ」で、崇高なまでにドラマチックな展開を作っている点です。

この曲の終盤の「♪This is our last dance」の部分が来る頃には全俺が号泣しています。ここまでの深い感動は単純な展開では表現できないだろうし、一方で曲自体は難解ではないところも驚異的です。

これはもう5人の創造神たちの妥協無きクリエイティヴ・バトルの賜物としか言いようがないですね。私はこの曲を聴くたびに勇気が湧き上がってくるのですが、それは彼らの高潔な魂が私の心を奮い立たせてくれるからでしょう。これほどまでの名曲を世に授けてくれた創造神たちに心からの感謝を!!

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