from「The Heart Speaks In Whispers」
コリーヌ、翼を与える
「大人になった」などと吹聴すること自体が幼さの表れと知りつつ、この度は敢えて言いたい。大人になったもんだ、と。
それはコリーヌベイリーレイのライブを観るという一つの夢が叶ったからであり、この様な回りくどい言い回しは詰まるところ、承認欲求の鬼と化したわたし一流の「ねぇねぇ、聞いて聞いて♪」であることを認め、まずはお詫び申し上げたい。
会場はビルボードライブ大阪。わたしなんか入ってええんか、ティーシャツでええのんか、みたいな心配をよそに、現地の結構カジュアルな雰囲気に胸をなで下ろしつつ着席。もちろんカジュアル席だ。
そして開演時刻6時半。社畜殺しの月曜日6時半ではあったが、現れたコリーヌ嬢のビューティフル&キュートな姿の前には「んなこたぁどうでもいい」のだ。
ライブは最高であった。
セットリストはこれまでのアルバムからバランスよく選曲され、ムーディーとピースフルを往来する構成。比較的短いステージではあったが、補って余りある濃厚な時間に一点の濁りもなく大満足。
また選曲のバランスとは別に、個人的感想としてアルバム「The Heart Speaks In Whispers」がライブの核なっていたように思われ、たまらなく嬉しかった。
それは平生いわゆるオルタナロックを聴くことが多く、R&Bやソウルに明るくはないわたしが、「The Heart Speaks In Whispers」の「前時代から見た未来」的雰囲気にはすぐさま魅了されてしまい、シンセのチープな質感が醸す「予算のないSF映画」のような音像にオルタナ心を感じ、ロックのフォーマットで語れる傑作アルバムじゃん。なんて具合に日頃から愛聴していたからだ。
そんな愛聴盤からの選曲がセットリスト中のフックになっていたことが、わたしにとってライブをより最高なものにしたし、ギター、ドラム、キーボードの少数精鋭部隊による原曲とは異なったアレンジも直売所さながらの新鮮さ。アルバムの素晴らしさと懐の深さにあらためて恐れ入った次第なのだった。
前置きが非常に長くなったが、以上を踏まえて当日のベストソング兼アルバムからの推薦曲とを選ぶならば、アコースティックな胸キュンソング「Hey, I Won’t Break Your Heart」を激推ししたい。前述のシンセサウンド云々のくだりがまったく意味を為さない選曲には、他ならぬわたし自身が一番驚いているが、そうなんだからしょうがない。
アコギをつま弾きしっとりと歌い上げるコリーヌ嬢。そして少しずつ、少しずつ、極めて丁寧に楽曲は盛り上がる。手はじめに1:25で登場するギターに第一鳥肌。歌の余白を控えめに彩るように寄り添うギター。コレもはやコーラスやろ…とか考えてたら2:36のドラムで第二鳥肌、すかさずゴスペルライクなコーラスが加わり第三鳥肌。3:05からの渾然一体感とコーラスで優しく完成する楽曲に、わたしは工学に精通しないただの鳥人間と化す。
まぁ鳥人間なんてのは下らない比喩であるけれど、本当に何処へでもいける気にさせてくれる素敵な音楽が、わたしみたいなインドア人間を外へと連れ出し、夢を夢で終わらせず、知らなかった素晴らしい世界を見せてくれたのだから、あながち冗談ばかりでもないのかもしれない。
そして願わくばこの承認欲求と下らぬ煩悩にも羽を与え、飛び去らせてください。
コメント
おぉ!ドーナツさん、
コリーヌさんにお会いになられましたか。
うらやましい限りです!
私もこのアルバムは大好きです。
アルバム屈指の名曲ですね。
個人的には1:45辺りから後ろの方で流れ出すオルガンに第4鳥肌です!
よんきーさん
すみません、もう半ば自慢のごとき内容でした(苦笑
サードにして新境地の名盤ですよね!
そこを鳥肌ポイントにする辺り、よんきーさんもかなりのコリーヌ痛ですね笑