from 「Beautiful Lies」
爆音ピアノガール感
15歳でリリースされたデビューアルバム「Birdy」で、ボン・イヴェールやフェニックスの楽曲を見事にカバーし、全ロッキンボーイズを虜にしたUK才女。バーディーである。
その選曲の絶妙さ(deluxe editionにはスマパンのカバーまである)もさる事ながら、わたしが特に感じたのは「すべて彼女の血と肉になった曲なんだろうな」という点。
歌わされた曲ではこうはならないし、何より「ご両親の外出時に、爆音でロックを聴いてるピアノ・ガール」感があって、わたしの好感度メーターはその後の彼女の活躍と比例して、ぐんぐんと上昇していた。
そんな彼女も早いもので20歳を迎えた。(2016年当時)
この素晴らしい人生の節目にリリースされたサードアルバム「Beautiful Lies」は彼女の覚悟が感じられる傑作である。
本作はピアノの弾き語りでオルタナロックを演奏する、というスタイルから、オーケストラやバンドサウンド、エレクトロ色の強い攻撃的なサウンドに転向(そもそもベースがこっちだった気もするが)した攻めの姿勢が潔い。
オーバープロデュースと言うのは容易いが、この決意と勇気をそんな言葉で片付けるのは野暮というものだろう。
そしてアルバムからのリード曲にもなった「Keeping your head up」はそれらが最も顕著に表れた快作である。
イントロからしてピアノの旋律が印象的だが、手始めにストリングスとハンドクラップが混じって沸々と熱を帯び、ドラムのフィルインを合図に重なるベース、キーボードのレイヤーに早くも楽曲は最高潮。この出し惜しみのなさも小気味よいではないか。
サビの「I’ll be keeping your head u〜p♪」もつんのめりそうになる勢いがこれまた癖になる。
また驚くべき事にこの曲は自身でもプロデュースを手掛けたというのだから、やはり「休日に偶然見かけた学級委員長の私服がパンキッシュ」感が夥しい。
アルバムを通してそこはかとなくオリエンタルな雰囲気が感じられ、ジャケットの和装も麗しく、日本を贔屓にしてくれているのかと思えば、自然こちらも贔屓にしてしまうのが人情というものだ。これからも若き異国の才能に魅せられながら、同時に人情とは切り離された冷静さと公平な眼でもって彼女を応援し続けたい。
…と、いや〜書いた書いた。
さて人様のお見せする前に、客観的目線でもって自分の書いた文章を見直そうじゃない。うんうん、なるほど…
「おまわりさんこの人です」
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