from 「Junk of The Heart」
ノックは無用
ギターロックが好きです。こう言うとおバカみたいですが、ジャンルもくそもない昨今の音楽シーンであれこれ聴いた後に何気にギターロックに耳を傾けると、「オラオラなんや言うてもこれが好きなんやろオラオラオラオラ~」と言うオラオララッシュに抗えない自分がいます。特にあれ、ラスサビ前のギターソロっていうんですか。間奏でグイングインやられてラスサビで大盛り上がりするやつ。あれは特にたまりませんね。大好物のクリスピーサンドキャラメル(←ハーゲンダッツね)と並べられても私は断然こっちを選びます。…多分。いやー、迷うなー(迷うんかいっ!)。
そこでお薦めするのがUKギターロックの雄、ザ・クークスです。クークスは同期のアークティック・モンキーズやザ・ビューと並んでUKギターロック新御三家と呼ばれる存在(←あ、こう言ってるのは私だけです)。そういや思い出しますねぇ、アークティックのデビュー作。「The View From The Afternoon」の間奏ブレイク後のギターの掛け合い。そこにタンタカッタンタカッ割り込んでくるドラム。まるで新幹線のホームにのぞみとのぞみ、その間に500系が割り込んでくるような渋さです。
ザ・ビューは2ndアルバム「Which Bitch」の「5Rebeccas」。この曲はイントロからしてこらカッコええに決まってるやんっていう鳥肌もののパーフェクトなロケンローなんですが、ここで聴ける間奏のギターソロがまた輪をかけて最高です。ま、なんてことないギターソロなんですけど、オーソドックス故のカッコよさっていうんですか。この曲のギターソロとそこから向かうラスサビは正に王道、チャンピオンロードっすね。カイルのシャウトがまたいいんだ。
さて、ちょっと前置きが長くなりましたがザ・クークス。クークスは勿論1stアルバムのやんちゃくれ感も好きなんですが、私が選ぶベスト・オブ・ギターソロは3rdアルバム「Junk of The Heart」収録の「Is It Me」です。スネアの端をカツカツやる例のアレで静かに始まるのも期待感高まりますね。で最初のヴァースが始まって、サビ、そして2番へ。クークスらしくスピードを徐々に上げていきます。ついでに言うとこの手のスピード感ってなかなか出せないんですよ。稀にデビュー作で異様な疾走感を出せるバンドもいますが、まぁあれは初期衝動ってやつで。アルバムを重ねる毎に、ていうか意図的にスピード感を出そうとしてもそうできるもんじゃないのです。ま、初期衝動ではないところでそれが出来るのがUKギターロック新御三家ということでしょうか。
ん?ちょっと待って。でもこの曲、そんなにすんごいやつ?確かにロジャー・ダルトリーばりのしゃくりあげボーカリスト、ルーク・プリチャードの声も相まってスピード感は感じる。でもそんな特別な曲には思えないんですけど、、、。まぁ確かにここまではそうです。しかしこの曲の真骨頂は2番のサビが終わった瞬間のギターソロから始まるのです!!
全く別の曲かのような異様なテンション。エンジン全開で一気にアクセルをふかし畳み掛ける怒涛の展開。これでもかのスピード感満載のギターソロの後は、ラスサビへ向わず最初のヴァースに戻るところがまたニクイ!しかも従来のサビは一切無く最初のヴァースが見事に大サビへ変容する高等テクニック!そこそこキャリアの積んだバンドがワザとらしくなくこれをサラッとやってしまうところは流石やね。
しかしまぁこの2段ロケットのような覚醒感は何なんでしょ。2番までとは全然テンションが違うんやもんな~。例えて言うと、芸能人のトーク番組やのに最後は一般人が出てきて、横山ノックと上岡龍太郎がテンションマックスの豪華な衣装に身を包んだその一般人をエスコートするっていう謎のエンディング(byノックは無用)。間奏のギターソロはさながら「フォンテ~ヌ」、ラスサビと化したヴァース1は「魅惑の変身」といったところでしょうか。これこそまさに人智を超えたイデアのメロディ!!
ま、よく分かりませんが、それぐらいの覚醒感ってことです(笑)。UKギターバンド直系、ザ・クークスがテンションマックスでぶっ放すギターソロ&ラスサビ。皆さんも是非ご賞味あれ!!