名曲量産無双状態
最小限の音楽的知識で最大限の快感を
oasisの魅力は何なのか、あなたは考えたことがあるだろうか。
学生時代に彼らのことを知ったわたしは、まだ音楽のジャンルもわからないまま聴いていた。洋楽と言えばエアロスミスとボンジョビくらいしか知らなかった。
ただ、oasisの演奏から、エアロやボンジョビとは異なる種類の快感を得られることだけはわかっていた。
単純なメロディが繰り返されることの気持ちよさ。最小限の音楽的知識で最大限の効果を出しているようなそんな魅力があった。
カップリングも含めて全曲チェックしたくなる
全盛期の彼らは本当の本当の本当に最強だった。出す曲出す曲がド級の名曲で、存在そのものがロックスターだった。
ノエルはカップリング曲ですら神がかった創造性を発揮していた。あれほどまでに「全曲をチェックしなければ」と焦燥感に駆られたアーティストは後にも先にもoasisだけだろう。
田舎者の兄弟が世界の頂点に立つ瞬間を見届けられたことは、青春の貴重な思い出である。 あれから時がたち、oasisを冷静に聴ける今、彼らの魅力とは何だったのかを考えてみた。
oasisの魅力を一言で言うならば
結論から言ってしまうと、彼らの一番の魅力は「ちっちゃいことは気にしない姿勢」なのだ。 曲がよかったら後は思い切って演奏すりゃあいいんだよ、という大雑把で頼もしいスタイル。
他のアーティストが音楽理論やテクニックを駆使して音楽を作っているのに対し、oasisはある意味無駄を省いたミニマリストのような音楽を放ったのだ。
歌メロこそが大事で、そこには複雑なコード進行もギターソロもいらない。とても痛快ではないか。
歪んでるのにオープンコードでジャーンとやる
サウンド的にもわたしには新しかった。鳴っている音がとにかくシンプルで、洋楽に詳しくないわたしにも理解できる音だった。
ギターを歪ませてオープンコードをジャジャーンと鳴らす。まるでアコギを弾いているような顔してジャカジャカやる。
コレが斬新だった。普通ディストーションをかけたギターで伴奏するならパワーコードとか弦三本くらいまで鳴らすくらいやん。
それをアコギばりに6本全部鳴らしちゃう、みたいな。音めっちゃ歪んでるのに。
下品な音になるっちゃあなるんだけど、曲の芯がしっかりしてることと、酔っ払いフーリガン的なノリとマッチして、良い結果を招いたのだ。
※そのスタイルを極限まで突き詰めたのが次作「Be Here Now」で、歪んだギターを重ねすぎて、ノイズがずっと鳴っているようにしか聴こえない曲もある。
神がかった時期の終わり
リアムの歌もとりあえず全力で発音しときゃオーケーみたいな男らしさがカッコ良かった。「I don’t」を「あずぉん」みたいに全力発音するリアム節はちょっとした発明だった。
それが、3rd「Be Here Now」以降様子が変わってくる。サイケデリックなサウンドや様々な楽器を導入し、「大合唱したくなるoasis」からはどんどん離れていってしまった。
要は「ちっちゃいことを気にする」ようになってしまったのだ。
神がかった名曲量産無双状態は終わり、わたしは少しずつ関心を失っていった。
だからこそ、初期のoasisの輝きがいかに特別なものだったのかが今はわかる。
ちなみにAmazonPrimeで観られるドキュメンタリーは全盛期の彼らに密着しているので、日本ツアーの映像とかエピソードもありかなり面白かった!知らないことが沢山ありましたよ。
オアシス:スーパーソニック(字幕版)全人類が異論なし最高傑作2nd「Morning Glory」
多分、全人類にアンケートをとっても異論がないであろう、彼らの最高傑作「(What’s the Story)Morning Glory?」はそんじょそこらの名盤とは格が違う。
いくらblurやGorillazがアメリカでブレイクしたと言っても、Coldplayがビッグになろうとも、オシャレでもなく最先端でもないoasisが、変化球なしストレート一本で世界を制したインパクトには全く敵わないのだ。
「Hello」のイントロのワクワク感は今も健在だった。あれホント不思議。別に印象的なリフがあるわけでもなく、コードジャカジャカしてワウペダルでウンチャカウンチャカしてるだけのイントロなのにこの高揚感なんやねんと。
ここにoasisの「ちっちゃいこと気にすんな感」の良いところが凝縮されてると思うんすよね。
代表曲「Wonderwall」と名バラッド「Cast No Shadow」
代表曲「Wonderwall」は改めて素晴らしい曲だなぁと実感した。イントロはアコギのコードストロークのみ、派手なアレンジは特にない。
サビで全然盛り上げないのも凄い。コードとメロディが生み出す独特の哀愁のみで勝負している。あの繊細なメロディをリアムが歌うことで程よく中和されてて、上手くできてるのよ。
そして、「Wonderwall」から派生した「Cast No Shadow」はわたしのアルバム随一のお気に入りである。
「Wonderwall」のアンニュイな空気感と比べて、直球で切ない。メロディラインはロックンロール的なわかりやすさで、コード感だけで切なさを発揮している。
コレが深いのだ。メロディだけを聴くと楽しげなのに、コード感だけは真逆の方向に進む。
逆の要素を組み合わせたら深みが出る
例えば3rdに収録されている「Don’t Go Away」も切ない良曲だが、メロディラインもコード進行も哀しげだ。コレって普通なのよね。まあそうだよね、っていう。
「Cast No Shadow」が深いのは逆の要素を組み合わせているからだとわたしは考える。だからといって手法としてできるかは別だけど。
サビで聴けるリアムとノエルのハモリが泣けて仕方ない。さらに最後の「As he face the sun he cast no shadow〜」が発音も含めて完璧。「あーずぃ〜」。
oasis史上最も感動的な曲であると断言したい。
日本にも浸透した「ドンルク」についてはもはや聴きすぎた感があって、冷静に評価を下せなくなってしまった…笑 わけわからん日本のアーティストがカバーしてたりして、ノエルに聴かれたらヤベェだろって言うレベル。テイラースイフトのファン層も知っている程のスタンダード感よ。
ただ、リリース当初「この曲めっちゃええ曲やなぁ」と友人と話していた記憶があるので、純粋に聴けたらやっぱり名曲なんでしょうね。
oasisをこれから聴こうとしている人たちへ
このアルバムは(「She’s Electric」を除いて!)全て名曲。今回詳しく紹介はしなかったが「Some Might Say」とラストの「Chanpagne Supernova」はこのアルバムの核となる重要曲なのでアルバムの最後まで気を抜くことのないようお願いしたいところである。。
そして各シングルのカップリングも大変なことになっているので、デラックス版のボーナストラックもセットで聴くことをオススメする。
カップリング集の「The Masterplan」にはなぜか「Wonderwall」のカップリングの名曲「Round Are Away」が収録されていないので、デラックス版をチェックしてほしい。
オマケのコーナー:ロックなTシャツを探せ
oasisのロゴって、初期の頃のが溢れすぎてて、後期の方が今やカッコよく感じる。しかし、水色のTシャツならば新鮮な気持ちで旧ロゴを受け入れることができる!
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