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【人生で最も聴いたアルバム】もうすぐTOP10 Judee Sill「Judee Sill」

60s

絶対に後世に語り継がなければいかん

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将来間違いなくTOP10に食い込む作品

ジュディ・シル。1944年10月7日生まれ。1979年11月23日に薬物過剰摂取により35歳で死去。生前、2枚のアルバムをリリースし、高い評価を得たものの、最期まで商業的な成功は収めることはなかった。

文字通り不遇の天才と言えるアーティスト。しかし、今後わたしの「人生で最も聴いたアルバムTOP10」に食い込むこと間違いなしなのがこの「Judee Sill」なんどす。

わたしが彼女の音楽を知ったのは「もう過去のアーティスト発掘はいいかな」と思い初めていた2012年くらいのこと(今ではまだまだ知らないアーティストがいるので考えを改めました)。

クラシックとフォークの融合

友人から勧められて何気なく聴いてみたところ、そりゃあもうぶっ飛びましたよ。
なんというか、当時よくいたフォークシンガーかと思っていたら、クラシック的旋律をアコースティックギターで弾き語っているその美しさがまるでゴスペルで、とてつもなく新鮮だった。

懐かしいようでこれまでに聴いた事のない優しいメロディ。そしてそのメロディに寄り添うような柔らかく透き通った声。何よりも完成度の高い楽曲群。

彼女がスターになっていないなんて、当時のアメリカ人は何を考えていたのだろうか。呆れると同時に「まだこんなアーティストに出会えるんだ」という音楽界の奥深さに感動した。

Judee Sill (USC, '73: complete)

一人でも多くの人に知ってほしいアーティスト

生前にリリースされた「Judee Sill」と「Heart Food」、彼女の死後にリリースされた未発表曲集「Dreams Come True」の3枚しか彼女を知る手がかりはない。
もし、真っ当な評価されていたら、さらに多くの名曲が誕生していたかもしれないと思うとマジで悔しいしもったいないと思う。

あまり知られていないアーティストから大名盤を発見するという音楽ファン冥利に尽きる体験を与えてくれたジュディ・シルに心から感謝するとともに一人でも多くの人々に彼女の作品を伝えたいと思います!

2012年当時に書いたレビューを紹介します!

まだこんな天才がいたなんて知らなかった

まだおるか…まだおるんか!!わたしは夜の満員電車で叫びそうになった。……かつてボブ・ディランは言った。「世の中はこれ以上新しい曲は必要としていない。もう十分あるじゃないか」と。

路上の伝道師たるわたしにはそんな言葉は通用しない。聴いても聴いてもロックの快感は尽きない。アーティストのみなさんにはこれからもどんどん新曲を生み出してもらわないと困る。

でもさすがに過去のアーティストに驚かされることはもうないかなぁ、と思っていましたよ。これでも結構な量聴いてきましたから。昔のロックはもういいかなぁと。Judee Sillを知るまでは。Sillを知るまでは!!Sillを……ケフンケフン…

「補正」抜きで語りたいジュディ・シル

これほどまでに美しい音楽を知らないまま過ごして来たのか。あぁ音楽の女神よ、わたしなんか産まれたての仔鹿です。つぶらな瞳ですみません。「おめぇにロックを語る資格はねぇ!!」と叱られても仕方ありません。でも今夜だけは語らせてください。

まず、ロック界には「60’s補正」「70’s補正」というものがある。つまりその年代にリリースされたというだけで評価が高まる現象のことだ。わたしはそれにいつも違和感を覚える。ジュディの音楽は70’sに所属しているが、そんな「補正」は抜きにして語られるべきだ。

完璧主義者が作る楽曲とは…バッハの影響も

Crayon Angels」の、優しく丁寧で芯のある声はどうだ。彼女の歌からは、一つの言葉、メロディに対し最大の敬意を払うかのような所作を感じる。完璧主義者であったがために、一曲を完成させるのに一年かけていたというエピソードも納得のクオリティである。

Judee Sill – Crayon Angels 1971

彼女の曲にはどれもさりげないフックがある。必ずグッとくるメロディとコード進行が隠されているのだ。「The Archetypal Man」のAメロなんか一発で引き込まれる。しかしグッとくるとはいっても、胸を刺すような痛みではなく、やわらかい切なさが全体を包み込む。永遠にリピートしていたい。バッハの影響も相まって独特の神々しさを放つ、まさに神に捧げるフォークソングである。

そしてニンジャじゃないほうのタートルズに提供した名曲「Lady-O」である。なんと麗しいメロディであろうか。フォークシンガーの域を超えたストリングスのアレンジも感動的。

稀代の名曲「My Man On Love」

「ポップソング」という呼び名に相応しい「Jesus Was A Cross Maker」もヒット性抜群の出来だ。ポップなんだけど聴いたことのないサビが新しい。キャロル・キング級に知られていてもおかしくない才能ではないか。

Jesus Was A Cross Maker (Live at Boston Music Hall)

ジュディはメロディメイカーとして稀に見る天才である。「Ridge Rider」の完璧なAメロを聴けるだけでロックファンであり続けた自分を褒めたくなる。コードの響きも1971年の作品とは思えないほど現代的だ。

My Man On Love」……まだ名曲あるんですね……あかん、アコギの伴奏と歌メロの絡みが完璧すぎて、さらに後半で高音のチャイム?が鳴り出してもう切なすぎて泣けてくる。しかもコーラスの重ね方がもはやポップミュージックの域をこえている。これを弾き語りスタイルでやってしまうセンス、恐るべし。

Judee Sill – My Man On Love

わたしの中でKurtやJeffに肩を並べるカリスマ!

ジュディの書くメロディはわたしがこれまでに知っている美しさとは異なっている。まだこんな感覚があったんだ、と感じた。美を追求しすぎて別世界に行ってしまったのだろうか。ソングライターならばこのメロディのマジックを解明すべくコード進行を研究してまうだろう。

うおぉぉ!!数年に一枚クラスの大名盤。特に後半の名曲の連打はもはや(わたしの中で)伝説化している。Kurt CobainJeff Buckleyに肩を並べるカリスマ。わたしの洋楽ライフをかけて推す。えぇい、全員買え!!

(注1「補正抜き」といいながら時代性の話をすると、60、70年代の女性フォークシンガーといえば、ジョーン・バエズジョニ・ミッチェルローラ・ニーロなど、ファルセットを駆使する歌手が多かったように感じる。ジュディのように自然な声で歌うシンガーはとても新鮮だ)

終わりに

冒頭で「薬物過剰摂取で死去」と一言で書いたものの、死の直前、彼女は親しいミュージシャン仲間も連絡が取れないような消息不明状態だったそう。

その時彼女は何を思っていたのだろうか。それまで誰も作ったことのないような音楽を生み出していたにも関わらず、作品の持つポテンシャルに見合った評価を得られなかった。

「世の中は公平ではない」とはいえ、彼女の心境を想像すると悲しくなる。

「この作品は絶対に後世に語り継がなければいかん…!!」という強い使命感の下、紹介させていただきました。

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